外構工事(エクステリア工事)に限らず、軽微な工事以外を請け負うには「建設業の許可」が必要です。大規模な工事を、最後まで責任をもって終わらせるための能力があるかどうかを判断するためです。
また、建設業の許可を取得しているだけで、これを持っていない会社に信用性に大きな差をつけることができます。
建設業の許可を受ける方法
建設業の許可を受けるためには、以下の5つの要件を満たしている必要があります。
・経営業務の管理責任者としての経験がある者を有していること(建設業法第7条第1号)
・専任の技術者を有していること(建設業法第7条第2号、同法第15条第2号)
・請負契約に関して誠実性を有していること(建設業法第7条第3号)
・請負契約を履行するに足る財産的基礎または金銭的信用を有していること(建設業法第7条第4号、同法第 15条第3号)
・欠格要件などに該当しないこと(建設業法第8条、同法第17条『準 用』)
建設業の許可を受けるには、これだけの要件を満たしていれば問題ありません。この中で、「専任の技術者を有していること」について解説していきます。
「専任の技術者を有していること」とは
建設業の許可を受けるためには、経営者本人あるいは従業員の中に専任技術者をおく必要があります。
また、建設業の許可には「特定建設業の許可」と「一般建設業の許可」があり、それぞれ専任技術者になれる条件は異なります。
一般建設業の場合
一般建設業の許可の中で定められる専任技術者は、「実務経験のある人」と「国家資格者」の2つがあります。どちらか一方の条件を満たすことで、ここでいう専任技術者として認められます。
専任技術者になるために必要な実務経験は、許可を受けようとする建設業で10年以上働いていることが絶対条件です。ただし、高校または大学を特定の学科で卒業している場合、実務経験は少なくなります。
・高校を特定の学科で卒業した場合、実務経験は5年以上
・大学を特定の学科で卒業した場合、実務経験は3年以上
一方、一般建設業の許可に必要な国家資格は、許可を取得しようとしている業種に適した免許が必要です。このとき、資格さえあれば実務経験は一切必要ありません。そのため、専任技術者と認められるために免許を取る方は多いです。
また、一つの国家資格で専任技術者となれる建設業は一種類の業種だけではありません。
例えば、一級建築施工管理技士を取得した場合、16業種もの建設業で専任技術者として認められます。
資格 |
専任技術者となれる建設業 |
---|---|
一級建築施工管理技士 |
建築工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工工事業、屋根工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業、建具工事業 |
なお、実務経験は一つの業種につき10年必要になるため、16種類の建設業で専任技術者になるには160年もかかり現実味がありません。このことを考慮すると、一生懸命勉強して国家資格を取得する方がはるかに費用対効果が高いことが分かります。
また、仕事を請け負う際、実務経験のみで主任技術者になったとしても、信頼性に欠けます。国家資格者が在籍している会社と比べられたとき、その差は明確に表れるため、きちんと資格を取って専任技術者になることをお勧めします。
特定建設業の場合
特定建設業の中で定められる専任技術者とは、「国家資格者」、「指導監督的実務経験を有する者」、「国土交通大臣から認定された方」のいずれかの条件を満たしている人のことを指します。
「国家資格」に関しては一般建設業の許可と同じですが、その免許で対応できる建設業の種類が異なります。許可を受けようとする建設業に合わせて、資格を取得します。
次に、「指導監督的実務経験を有する者」とは、前述の一般建設業で専任技術者要件(実務経験または国家資格)を満たしている人が対象です。これに加え、元請けとして工事を請け負い、その請負金額が4,500万円以上である現場について2年以上の指導経験を有する者が専任技術者として認められます。
指導監督的な実務経験とは、建設工事の設計や施工、工事現場主任、現場監督などのことを指します。
一方、「国土交通大臣から認定された方」とは、法定の国家資格を有する者と同等、またはそれ以上の能力を有すると認めた方のことです。あるいは、指導監督的実務経験者と同等、またはそれ以上の能力があると判断された人のことを指します。このどちらかに該当する人のことを、「大臣特別認定者」と呼びます。
大臣特定認定者になることができれば、特定建設業の専任技術者として認められます。
ただし、指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業、造園工事業 )の特定建設業の許可を受ける場合、専任技術者は法定の国家資格を有しているものでなければいけません。
もしくは、国土交通大臣が国家資格者と同等、またはそれ以上の知識や技術、技能を持ち合わせていると認めた者以外は、専任技術者になることはできないので注意してください。
また、経営業務の管理責任者と同じように、許可を取得した後に専任技術者が退職して後任がいない場合、要件を満たすことができなくなります。その結果、建設業の許可は取り消されます。
専任技術者の不在が生じないように、あらかじめ上記要件を満たす方を数名、会社に在籍させておくことをお勧めします。
このことから分かるように、経営業務の管理責任者と専任技術者は建設業の許可を取得するためのキーマンになる存在です。
ただ、中小企業ではその両方の条件を満たす人材を多数雇うことは難しいため、社長がこのポジションにつくことができれば一番良いです。そのほかの要件は、誰でもクリアできるからです。
それが厳しい場合、経営業務の管理責任者と専任技術者が簡単にやめてしまわないように、対策をしておきましょう。