私たちが普段生活している中で、いたるところでコンクリート構造物を目にすると思います。高層ビルや擁壁(コンクリートの壁)、あるいは橋を支えている橋脚などがこれに当たります。
そこで、「高いところや車が入れないところへ、どうやってコンクリートを運んでいるんだろう?」という疑問が生まれます。実は、コンクリートポンプという機械を使用しています。
コンクリートポンプを使えば人件費を抑えることができる上に、作業時間を大幅に短縮することができます。工事で一番かかる費用は、実は「人件費」です。
外構工事(エクステリア工事)で頻繁に使用されるコンクリートは、品質管理が非常に重要です。
そこで、品質管理に欠かせないコンクリートの運搬方法と、コンクリートの打設(コンクリートを流し込む作業)の方法を以下にまとめました。
生コンを運ぶミキサー車
コンクリートはもともと生コンと呼ばれていて、液状で現場に運ばれてきます。生コンを運搬するのはミキサー車(右の写真)と呼ばれる車です。
生コンは、JIS規格(日本工業規格)で品質が定められていて、工場のコンピューターで設計通りの強度が出るように練り上げられます。
次に、練りあがった生コンを「ホッパー」と呼ばれる穴から投入します。ホッパーから入れられた生コンは、「ドラム」と呼ばれる容器に入ります。
ドラムは常時ゆっくり回転していて、現場に着くまで生コンをカクハン(混ぜ合わせる)し続けることができます。生コンは動きが止まると硬化を始めてしまうので、現場に運搬するまでカクハンし続ける必要があります。
生コンを送り届けるコンクリートポンプ
ミキサー車で生コンを運搬してきても、車が入れなかったり建物が車の位置より高かったりすると、人の手だけで生コン打設(流し込むこと)を行うことは至難の業です。
そこで、「コンクリートポンプ」という機械を使用することで、生コン打設が安易になります。生コン打設は非常に重労働なので、コンクリートポンプを使用しない場合は作業員を増やすしかありません。しかし、作業員を増やすと、工事費用が大きく跳ね上がってしまいます。
コンクリートポンプはトラックと一体式になっているものがほとんどで、トラックの後ろにコンクリートポンプが搭載されています。
右の写真のように機械が伸びていき、建物も簡単に飛び越すことができます。そのため、手作業だと一日では終わらない生コン打設でも、コンクリートポンプを使用すれば時間をかけずに生コン打設を行うことが可能です。
このとき、まずコンクリートポンプ後ろのホッパーへミキサー車から生コンを入れてもらいます。
ホッパーへ入った生コンは液状なので、水と同じように吸い上げることができます。この写真のコンクリートポンプの仕組みは「スクイズ式」と呼ばれています。
スクイズ式のコンクリートポンプがコンクリートを吸い上げる仕組みは、シュポシュポ(灯油ポンプ)と同じ原理で作られています。歯磨き粉を出すように、機械で生コンの入ったゴムを押し潰して生コンを押し出します。ゴムの反力で元の形に復元する際にゴムの内部が真空になるので、生コンを吸い上げることができます。
次に、吸い上げられた生コンは配管を通っていきます。配管をつなぎ合わせていけば、どこまでも生コンを送り届けることもできます。
さらに、配管を利用することで、作業スペースを最小にすることができます。
都心部のような住宅が密集している空間でも、コンクリートポンプを使用すれば作業員が溢れかえるようなことはありません。つまり、「周り近所に迷惑をかけずに工事を行うことができる」ということです。
最後に、配管の中を通った生コンはゴム製の先端ホースから出てきます。コンクリートポンプの操作は、全てリモコンによる遠隔操作によって行うので、作業員は全て現場で作業を行うことができます。
前述の通り、コンクリートポンプを使用することで作業時間を大幅に削減できます。
実は、生コンの品質が保証されている時間は工場を出荷してから90分間しかありません。そこで、コンクリートポンプを使用すれば生コンの品質を保障することが可能となります。
今回の工事の場合、手作業では半日以上かかる作業であっても、コンクリートポンプを使用すれば1時間程度で終わります。
一方、コンクリートポンプを使用しない工事では生コンの品質を保証することができない上に、無駄な人件費ばかりかかってしまいます。コンクリートポンプを上手に活用して、「時間短縮」と「工事費用削減」を目指しましょう。