専任技術者に必要な国家資格一覧:特定建設業の許可

資格の種類

建設業の許可を受けるためには、経営者本人あるいは従業員の中に専任技術者をおく必要があります。

特定建設業の中で定められる専任技術者とは、「国家資格者」、「指導監督的実務経験を有する者」、「国土交通大臣から認定された方」のいずれかの条件を満たしている人のことを指します。

中でも、国家資格を有していれば28種類ある業種の中で、特定建設業の許可で定める27種類もの専任技術者に認められます。

ただし、国家資格に関しては、免許によって申請可能な建設業の種類が異なります。そのため、許可を受けようとする建設業に合わせて、資格を取得しましょう。

専任技術者になるには、国家資格を取得するのが一番の近道

指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)の特定建設業の許可を受ける場合、専任技術者は法定の国家資格を有しているものでなければいけません。

もしくは、国土交通大臣が国家資格者と同等、またはそれ以上の知識や技術、技能を持ち合わせていると認めた者以外は、専任技術者になることはきないので注意してください。

また、許可を取得した後に専任技術者が退職してその後任がいない場合、要件を満たすことができなくなり、建設業の許可は取り消しとなります。

専任技術者の不在が生じないように、あらかじめ上記要件を満たす方を数名、会社に在籍させておくことをお勧めします。

このことから分かるように、専任技術者は建設業の許可を取得するためのキーマンになる存在です。中小企業ではその両方の条件を満たす人材を多数雇うことは難しいため、社長がこのポジションにつくことが望ましいです。

ただ、それが厳しい場合、経営業務の管理責任者と専任技術者が簡単にやめてしまわないように、対策をしておきましょう。

なお、特定建設業の許可が定める専任技術者になるための国家資格は以下の通りです。

建設業の種類

(工事の種類)

専任技術者の資格

(特定建設業の許可)

土木工事業
(土木一式工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建設機械施工技士
3.一級土木施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.建設部門
2.総合技術監理(建設部門)
3.建設部門(選択科目:鋼構造及びコンクリート)
4.総合技術監理(建設部門:鋼構造及びコンクリート)
5.農業部門(選択科目:農業土木)
6.総合技術監理(農業部門:農業土木)
7.水産部門(選択科目:水産土木)
8.総合技術監理(水産部門:水産土木)
9.林業部門(選択科目:森林土木)
10.総合技術監理(林業部門:森林土木)
建築工事業
(建築一式工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
・建築士法に基づく資格
1.一級建築士
大工工事業
(大工工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
・建築士法に基づく資格
1.一級建築士
左官工事業
(左官工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
とび・土工工事業
(とび・土工・コンクリート工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建設機械施工技士
3.一級土木施工管理技士
5.一級建築施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.建設部門
2.総合技術監理(建設部門)
3.建設部門(選択科目:鋼構造及びコンクリート)
4.総合技術監理(建設部門:鋼構造及びコンクリート)
5.農業部門(選択科目:農業土木)
6.総合技術監理(農業部門:農業土木)
7.水産部門(選択科目:水産土木)
8.総合技術監理(水産部門:水産土木)
9.林業部門(選択科目:森林土木)
10.総合技術監理(林業部門:森林土木)
石工事業
(石工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級土木施工管理技士
3.一級建築施工管理技士
屋根工事業
(屋根工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
・建築士法に基づく資格
1.一級建築士
電気工事業
(電気工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級電気工事施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.建設部
2.総合技術監理(建設部門)
3.建設部門(選択科目:鋼構造及びコンクリート)
4.総合技術監理(建設部門:鋼構造及びコンクリート)
5.電気・電子部門
6.総合技術監理(電気・電子部門)
管工事業
(管工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級管工事施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.機械部門(選択科目:「流体工学」または「熱工学」)
2.総合技術監理(機械部門:「流体工学」または「熱工学」)
3.上下水道部門
4.総合技術監理(上下水道部門)
5.上下水道部門(選択科目:上水道及び工業用水道)
6.総合技術監理(上下水道部門:上水道及び工業用水道)
7.衛生工学部門
8.総合技術監理(衛生工学部門)
9.衛生工学部門(選択科目:水質管理)
10.総合技術監理(衛生工学部門:水質管理)
11.衛生工学部門(選択科目:「廃棄物管理」または「汚物処理」)
12.総合技術監理(衛生工学部門:廃棄物管理)
タイル・れんが・ブロック工事業
(タイル・れんが・ブロック工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
・建築士法に基づく資格
1.一級建築士
鋼構造物工事業
(鋼構造物工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級土木施工管理技士
3.一級建築施工管理技士
・建築士法に基づく資格
1.一級建築士
・技術士法に基づく技術士資格
1.建設部門(選択科目:鋼構造及びコンクリート)
2.総合技術監理(建設部門:鋼構造及びコンクリート)
鉄筋工事業
(鉄筋工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
ほ装工事業
(ほ装工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建設機械施工技士
3.一級土木施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.建設部門
2.総合技術監理(建設部門)
3.建設部門(選択科目:鋼構造及びコンクリート)
4.総合技術監理(建設部門:鋼構造及びコンクリート)
しゅんせつ工事業
(しゅんせつ工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級土木施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.建設部門
2.総合技術監理(建設部門)
3.建設部門(選択科目:鋼構造及びコンクリート)
4.総合技術監理(建設部門:鋼構造及びコンクリート)
5.水産部門(選択科目:水産土木)
6.総合技術監理(水産部門:水産土木)
板金工事業
(板金工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
ガラス工事業
(ガラス工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
塗装工事業
(塗装工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級土木施工管理技士
3.一級建築施工管理技士
防水工事業
(防水工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
内装仕上工事業
(内装仕上工事)
・建設業法に基づく資格
① 一級建築施工管理技士
・建築士法に基づく資格
① 一級建築士
機械器具設置工事業
(機械器具設置工事)
・技術士法に基づく技術士資格
1.機械部門
2.総合技術監理(機械部門)
3.機械部門(選択科目:「流体工学」または「熱工学」)
4.総合技術監理(機械部門:「流体工学」または「熱工学」)
熱絶縁工事業
(熱絶縁工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
電気通信工事業
(電気通信工事)
・技術士法に基づく技術士資格
1.電気・電子部門
2.総合技術監理(電気・電子部門)
造園工事業
(造園工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級造園施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.建設部門
2.総合技術監理(建設部門)
3.建設部門(選択科目:鋼構造及びコンクリート)
4.総合技術監理(建設部門:鋼構造及びコンクリート)
5.林業部門(選択科目:林業)
6.総合技術監理(林業部門:林業)
7.林業部門(選択科目:森林土木)
8.総合技術監理(林業部門:森林土木)
さく井工事業
(さく井工事)
・技術士法に基づく技術士資格
1.上下水道部門(選択科目:上水道及び工業用水道)
2.総合技術監理(上下水道部門:上水道及び工業用水道)
建具工事業
(建具工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級建築施工管理技士
水道施設工事業
(水道施設工事)
・建設業法に基づく資格
1.一級土木施工管理技士
・技術士法に基づく技術士資格
1.上下水道部門
2.総合技術監理(上下水道部門)
3.上下水道部門(選択科目:上水道及び工業用水道)
4.総合技術監理(上下水道部門:上水道及び工業用水道)
5.衛生工学部門(選択科目:水質管理)
6.総合技術監理(衛生工学部門:水質管理)
7.衛生工学部門(選択科目:「廃棄物管理」または「汚物処理」)
8.総合技術監理(衛生工学部門:廃棄物管理)
消防施設工事業
(消防施設工事)
消防施設工事業に限り、資格の所持だけでは、専任技術者になることはできません。
「甲種消防設備士」または「乙種消防設備士」の資格を取得した上で、請負代金4,500万円以上の元請工事に関して、2年以上の指導監督的な実務経験を積む必要があります。
清掃施設工事業
(清掃施設工事)
・技術士法に基づく技術士資格
1.衛生工学部門(選択科目:「廃棄物管理」または「汚物処理」)
2.総合技術監理(衛生工学部門:廃棄物管理)

 

特定の建設業の許可で定める専任の技術者になりたいのであれば、取得したい業種に合わせて国家資格を取得するのが一番の近道です。現場で経験を多くの積みながら、合間に勉強して資格を取ることをお勧めします。

特定の建設業の許可の場合、大規模な公共事業(国から発注される仕事)なども請け負うことになるため、その管理を行うにふさわしい人になる必要があります。将来のことを見据えて、技術と知識を身につけて、特定の建設業の許可で専任の技術者として認められる人材を目指してください。

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