私が職人だった頃、お施主さん（工事依頼主）と話をする機会がたくさんありました。中でも、「相見積もり（あいみつ）」についての話を聞くことがあります。あいみつとは、商品または工事を依頼する際、複数の業者に見積もりを出させることです。
相見積もりのメリットは、「さまざまなデザインや価格から業者を選ぶことができる」ということです。ただ、あいみつにふさわしくない案件もあるため、消費者であるあなたは注意が必要になります。
例えば、デザインや設計などにこだわりを持っている業者の場合、「個性や独自性」を売りにしているため、値引きを行おうとはしません。このような業者では、「相見積もりを行っても低価格の工事を期待することはできない」と思ってください。
ただし、優良業者を探し出すためには、相見積もりは非常に有効な手段です。特に、特定の製品やサービスなど、複数の業者間で提供する内容が同一の場合、あいみつは必須です。相見積もりを行うことで、さまざまな外構専門業者（エクステリア業者）が提供している外構プランや保障内容、あるいは金額を比較できるからです。
相見積もりを行う際に注意すべき点を以下にまとめました。
価格の比較
前述の通り、相見積もりを行う最大のメリットは、デザインや価格から業者を選べることにあります。大半の方が、似たようなデザインで同じ材料を使用しているのであれば、安い金額で外構工事を行ってくれる業者を選びます。
ただ、外構工事専門業者の中には悪徳業者が混ざっているのは事実です。たとえ悪徳業者であっても、低価格で良質な工事を施工することを前面に押し出しているため、外構工事を行いたいと思っている方からみれば、優良業者に見えます。しかし、外構工事の品質は値段で大きく変わります。
※もちろん、値段が高ければ良いというわけでもありません。
なお、近年ではデザイン案や設計など、過去に工事を行ったお宅の外構プランを少しずつ変更して使いまわしている業者で溢れかえっています。本来であれば、お客様の要望を聞き入れ、一人一人に合った外構を提案するのが専門家としての役割です。
外構工事に数百万円以上の費用を費やしたにも関わらず、隣近所と同じような外観になってしまってはガッカリしてしまいます。外構専門業者ごとに得意とする分野が異なるため、あなたが理想としている外構を施工している業者を探し出す必要があります。
業者ごとに異なる強み
数万件以上も外構工事をこなしている業者の場合、得意な外構パターンが見つかるため、同じような庭の提案しか行わない場合があります。それこそが外構専門業者のこだわりであり、強みでもあります。自社でしか提供できない工事を行うことに意味があるからです。
もし、その外構スタイルをあなたが望んでいる場合、工事を依頼してまず間違いありません。得意な工事内容を行うということは、工事費用を安く済ませる方法を知っているからです。
このことから分かるように、同じ内容の工事であっても、業者ごとに得意な工事内容が異なります。そのため、提案するプランは千差万別です
つまり、見積書のから読み取れる内容は、「単価や諸経費などの金額の大小と総額程度である」ということです。工事の品質管理や基礎工事の仕様、現場責任者、施工基準、契約書の有無などは分かりません。外構専門業者は、「無料で出す見積もりに力を入れたくない」と考えているからです。
ここに企業とお客様に温度差が生じます。大半の方が上記の内容も比較対象にあるからです。
もし、あなたも相見積もりを行うのであれば、値切ることを目的にしてはいけません。そうではなく、理想の外構を作り出すことを目的にしてください。そして、あなたが思い描いている外構を得意としている業者を見つけた場合、相見積もり後に目に止まった業者へかけあって本気で相談してみてください。
そうすることで、あなたは初めて「お客様」ととらえられます。そして、あなたの要望をきちんと取り入れた外構プランを予算内で建ててもらえます。価格のことばかりを気にしている方が見積もりの依頼を行う場合と、業者の仕事に惚れ込んで見積もりの依頼を行うのでは、後者に良い提案を行おうと考えるからです。
あなたの真剣な態度を感じ取った業者は、必ず真面目に対応してくれます。このとき、適当な態度や契約の話ばかりしてくる業者は悪徳業者である場合が多いです。これは、優良業者を見つけ出すための重要なポイントです。
