サツマイモは、ビタミンやカルシウムなどの栄養価が高く、素人でも簡単に育てることができます。
そのため、家庭菜園では人気の野菜です。
サツマイモは地上に実を付ける野菜とは異なり、植物の「根」となる部分を収穫します。これを、「塊根(かいこん)植物」と呼びます。
塊根とは、養分を蓄えて肥大(ひだい:大きく成長すること)して、塊状になった根のことを指します。野菜でいうと、サツマイモや大根、ニンジンなどのことです。
そのため、他の野菜と同じように育ててしまうと、根(サツマイモ)よりも葉や茎、花ばかりが育ってしまいます。その結果、甘みのない素朴な味になります。
そこでこのページでは、サツマイモを甘く育てる方法を紹介します。これを学ぶことで、おいしいサツマイモを栽培することができます。
サツマイモを甘く育てる方法
サツマイモは他の作物とは異なり、堆肥や肥料を与え過ぎてはいけません。
栄養分が豊富な土で育ててしまうと、サツマイモは「つるぼけ」してしまうからです。つるぼけとは、つるばかりが成長してしまうことを指します。サツマイモはできるものの、つるぼけしてしまうと水っぽくなってホクホク感がなくなり、おいしくなくなってしまいます。
実は、空気中の窒素を固定し、植物ホルモンを分泌する「ハーバスピリラム」や「アゾスピリラム」と呼ばれる微生物がサツマイモに生息しています。
つまり、「サツマイモは自ら栄養素を創り出すことができる」ということです。
そのため、地力(ちりょく:栄養価の高い土)の高い畑で栽培してしまうと、養分を余分に吸収してしまいます。これが、サツマイモに肥料を与えすぎると、つるぼけしてしまう理由です。
ただ、ほとんどの野菜は栄養をたっぷり含んだ土で無ければ大きく育ちにくいです。だからといって、サツマイモを栽培する場所のみを栄養分の少ない土質に変えるには費用がかかってしまうため、現実的ではありません。
そこで、栄養価の高い菜園でサツマイモを栽培する場合、「つる返し」という作業を行うと良いです。
つる返しとは
つる返しとは、大きく広がった茎を持ち上げて、「不定根(ふていこん:つるから2次的に発生する根)」を切る作業のことを指します。
サツマイモは植え付けてから2か月程度経過すると、生育が旺盛になり、つるを四方へと広げます。
このとき、伸びた茎の節間(せっかん:節と節の間)から根が生えてきて、さらに栄養を吸収するために地中へ入ります。これが、不定根です。
不定根をそのままにしてしまうと、つるばかりに栄養が供給されてしまい、肝心の根(サツマイモ)が育ちづらくなります。不定根はやがて、土の中の養分を吸い上げてサツマイモになります。すると、さらに茎が成長し続けた後、つるぼけになってしまいます。
これを防ぐために、ツルを浮かせて不定根を定期的に切除するつる返しが重要になります。これを定期的に行うことで、甘みのあるおいしいサツマイモを収穫することができます。
ただ、砂地のように有機物(栄養素の源)が少ない畑の場合、つる返しは必要ありません。微生物が栄養分を作るものの、必要以上に多く養分を産生することは無いからです。
ただし、葉が生い茂ってきた場合、不定根がないかどうかを確かめておいた方が無難です。多少なりとも不定根は発生する可能性があるからです。
このページで述べてきた通り、塊根植物であるサツマイモを育てるには、根を大きくすることを意識する必要があります。砂地のような栄養価の低い畑で栽培して、つる返しを定期的に行って甘みもあるサツマイモを収穫してください。