家庭菜園を行う際、ジャガイモを育てる方は多いです。初心者でも簡単に育てられる上に、ビタミンCやビタミンB1、ビタミンB2、食物繊維、鉄、カリウムなどの栄養素を豊富に含んでいるからです。
また、ガンや高血圧、心筋梗塞などの成人病の予防効果があると認められていて、さらには美容に良いとされている健康野菜です。
ただ、ジャガイモは病害虫に侵されたり十分に生育しなかったりしてしまうことが多いです。
そこでこのページでは、ジャガイモを強く健康的に育てる方法を紹介します。一般的に知られている栽培方法にひと手間加えるだけで、たくましく育ったおいしいジャガイモを収穫できるようになります。
ジャガイモの栽培時期
ジャガイモの植え方を説明する前に、種イモ(種となるジャガイモ)の植え付け時期を知る必要があります。適当な季節に植えてしまうと、枯れてしまう可能性があるからです。
実は、ジャガイモは年に2回栽培することが可能なため、「二度イモ」と呼ばれています。
比較的冷涼な気温を好むのですが、生育が可能な温度帯は広いです。ジャガイモの生育の適温は12~23℃です。ただ、外気温が30℃以上になる場合、生育を停止してしまいます。
そのため、ジャガイモは「春植え」、または「秋植え」のどちらか一方を行うのが一般的です。
本州の場合、2~4月と7~9月の春と秋に植え付けることができます。北海道の場合、5~6月に植え付け、沖縄県では年間を通して栽培することができます。育てやすい品種は、メークィーンや男爵、キタアカリデジマニシユタカなどです。
これらの中で、お気に入りの品種のジャガイモを選び、種イモを用意しましょう。
種イモの準備
種イモを準備するとき、自分で作ることもできますが、自作のジャガイモにはウイルス病に感染している可能性があります。そのため、園芸センターなどで販売されているものを使用するのが無難です。検査に合格した専用の種イモであれば、上手に育てることができます。
種イモを用意したら、発芽する場所を把握しておきましょう。ジャガイモには、「定芽(ていが:えくぼのようにへこんでいる部分)」と「へそ(親株と繋がっていた部分)」があり、定芽から芽が出ます。
このとき、ジャガイモを丸ごと植えてはいけません。「植え付ける約1か月前」までに種イモを用意して、弱い日の光が当たる場所に置き、日光を当てて丈夫な若芽を伸ばしておきましょう。これを行うことで、発芽が促進される上に、黒あざ病(黒色の病斑がでる現象)の予防になります。
十分に目が育った後、へその部分を切り落とします。すると、植え付け後の生育が良くなります。これを農家では、「乳離れ」と呼びます。
最後に、芽が2~4個以上あることを確認して、「必ずへそから縦に切断」してください。
ジャガイモの維管束(いかんそく:水や養分を運ぶ内部組織)はへそから伸びているため、横から切断してしまうと養水分の通路が絶たれてしまうからです。
維管束(養水分の通路)を切断してしまうと、「萌芽(ほうが:草木の芽が出ること)」しづらくなったり、生育が悪くなったりしてしまいます。
このとき、一片のジャガイモの大きさが40~60g程度になるように調整します。なお、40g以下の小さなジャガイモは、切断せずにそのまま使用してください。ただし、へそは取り除きます。
また、ホームセンターや園芸センターへ行けば、植え付け専用の種イモが販売されているのでそれを利用しても良いです。
種イモの植え方
通常、種イモは芽が出ている側を上にして植え付けます。こうすることで、発芽している面が上を向いて、成長しやすくなるからです。
しかし、病害虫に強いジャガイモを育てるためには、この真逆の方法を行います。つまり、切り口を上にして、発芽している面を下にして植えつけます。そのため、茎は下から伸びていくことになります。
あえて成長しづらくすることで、弱い茎は途中で生育を止め、強く健康な芽だけが地上部に出てくるようになります。これにより、ジャガイモは病害虫にかかりにくくなります。
一般的な植え方よりも地上に出てくる芽が少なくなってしまうため、収穫量は通常栽培よりも多少減ってしまいます。そのため、「量よりも質を求める方」にお勧めの栽培方法といえます。
もし、丈夫なジャガイモを育てたいのであれば、ここで紹介した方法でたくさんジャガイモを栽培してください。