キュウリは夏を代表する野菜であり、初心者向けで育てやすくいため、家庭菜園向け野菜として人気を博しています。また、キュウリはカリウムやビタミンC、カロチンなどの栄養素が豊富な野菜です。さらに、その用途は浅漬けにしたりサラダにしたりと、さまざまな料理に使える便利な夏野菜です。
栽培方法は、「種を撒いて育てる方法」と「園芸センターなどでポット売りされた苗を移植する手法」が存在します。
ただ、種から育成するとなると難しいため、家庭菜園の初心者は既に芽が出ているものを使用することをお勧めします。
キュウリの特徴
キュウリは、「朝収穫しても夕方にはまた立派なものができる」といわれているほど生育が速い野菜です。土中から栄養分を一気に吸い上げて、その全てを実に供給する特徴があります。
生育初期段階であれば、樹勢(じゅせい:草木の生長する勢い)が強いため、根から栄養素をたっぷりと実に送りこむことができます。これにより、キュウリは真っ直ぐみずみずしく育ちます。
しかし、栽培期間が中期移行に差し掛かると、生長する勢いは弱くなってしまいます。また、大量の養分を支給し続ける根は傷みやすくなり、一部に障害を受けてしまうと、栄養素の供給量をしづらくなってしまいます。その結果、出来上がる実は曲がっていたり、細く弱々しいものが出来上がったりしてしまいます。
生育中期以降も真っ直ぐなみずみずしいキュウリを育てるためには、根を健康に保護することが重要になります。
キュウリの育て方
本来、キュウリは地面を這って生育する根の浅い野菜です。
しかし、キュウリは支柱を立てて栽培するのが一般的です。これは、キュウリを含めたウリ科は、湿度に弱いことが関係しています。
特に、春~夏にかけて梅雨の時期を挟むため、キュウリの栽培には不適な時季です。そこで、支柱を建てることで風通しを良くし、病害虫の発生しにくい環境を作ります。
ただ、梅雨が終わって真夏が訪れると、台風が発生し始めます。そのため、支柱栽培から「地這い栽培(じばいさいばい:地を這うようにして育てる方法)」に切り替える必要があります。地這い栽培を行うことで、真夏でもキュウリを健康に育て上げることができます。
地這い栽培
キュウリは「短日植物(たんじつしょくぶつ:日照時間が一定時間より短くなると開花する植物のこと)」のため、お盆を過ぎた後の日が短くなる頃から栽培を始めると収穫量が増えます。
また、前述の通り、地這い栽培を行うことで台風対策になります。強風から苗を守ることができるため、夜露(よつゆ)の降りる季節まで濃厚な味わいのキュウリをたくさん収穫することができます。
このとき、キュウリの栽培には畝(うね)は「鞍(くら)つき畝」を作ります。
一般的な畝は、右の写真のように、一列に土を寄せて作ります。一方、鞍つき畝の場合、土を円形に盛り上げます。
キュウリは、葉が大きくなると同時に根も広がっていくため、一つの苗に対して一個の鞍つき畝が必要です。
その大きさは、直径50~90cm、高さは地面から15~20cm程度の丸形が理想的です。高さを出す理由は、前述の通り、キュウリを含めたウリ科は湿気に弱いからです。土を盛り上げることにより水はけや通気性が向上するため、キュウリの栽培に適した環境を作り上げることができます。なお、これを「高畝(たかうね)」と呼びます。
高畝は、ウリ科のように乾燥を好む作物を栽培するときや水分の多い土地で有効です。
ただ、キュウリは根を地表のぎりぎりまで浅く張るため、鞍の表面をわらなどで覆って根を守る必要があります。
ただし、敷きわらは適当に行えば良いわけではありません。必ず、地面が見えるように置くようにしましょう。敷きわらに厚みがあると、過湿になってしまう可能性があるからです。
また、わらが多いと水分が蒸発しづらくなるため、地表面の湿度が高くなります。すると、キュウリの根は土から出てわらの下まで伸びてしまいます。
その結果、キュウリの根は天候による過乾や過湿の影響を受けやすくなり、生育障害や病害虫の発生原因となります。また、光を遮ってしまうため、地温(ちおん:地面の温度)が上がりにくくなり、成長スピードが遅れてしまいます。
このようなリスクを避けるために、わらを敷く際は地面が多少見えるようにすることを意識してください。
なお、敷きわらはホームセンターや園芸センターへ行けば家庭菜園用のものが販売されているので、それを利用するようにしましょう。
わらが敷き終われば、適度に追肥(ついひ:肥料を追加して与えること)さえしていればおいしいキュウリを涼しくなるまで楽しむことができます。支柱栽培と地這い栽培を使い分けて、たくさんのキュウリを栽培してください。