外構工事(エクステリア工事)を行う際、見栄えや機能性、または耐久性に至るまで、さまざまなことを考慮して工事を行わなければいけません。どれか一つでも欠けてしまうと、素朴な外観になってしまったり、使いづらくてストレスが溜まったりしてしまうからです。また、最悪の場合、エクステリアがすぐに壊れてしまう可能性もあります。
先に挙げた項目の全てを取り入れることで、十年後も快適に使用できる実用的なエクステリアになります。
ただ、いくらあなたの敷地を過ごしやすくしたとしても、周り近所や道路、あるいは通行人の行動まで管理できるわけではありません。
特に、目に見えない「騒音問題」は誰しもが頭を抱える悩みの一つです。隣家の場合、忠告をしたり話し合いをしたりして騒音問題を解決できる可能性はあります。一方、騒音問題の根源が通行人や自動車の場合、対処方法は難しいです。
そこで、エクステリア工事を行って防音壁を設けることをお勧めします。
ただ、コンクリートやブロック塀で防音壁を設ける場合、工事単価が高いため、数百万円を超える費用が必要になります。予算がたくさんある方であれば、コンクリートやブロック塀で防音壁を造ることは可能です。しかし、ほとんどの方は「できるだけ安い値段で外構工事を行いたい」と考えるはずです。
その場合、草木を利用して防音壁を造ると良いです。比較的工事費用が安い植栽を活用することで、工事費用を抑えつつ見栄えのある外観を作り上げることができます。
樹木で造る防音壁
樹木で騒音を完全に遮るには、緑地の厚さがかなり必要なため、個人住宅規模では敷地を確保できないケースが多いです。ただし、音が聞こえる方向に樹木で防音壁をつくることで、「実際の効果以上に、音による精神的な負担が軽くなった」という話をよく聞きます。
そもそも、一面だけ壁を設けたところで、すべての音を遮断することはできません。防音壁の目的は、騒音を最小限に抑え、ストレスをできるだけ少なくすることです。
なお、樹木が音を弱めるのは、「葉の部分が音を反射させるから」と言われています。葉が厚くて大きい樹種(木の種類)であるほど、その効果を期待できます。
道路や町の騒音は一年を通して続くため、植栽で造る防音壁は葉が大きめの常緑樹(じょうりょくじゅ:一年中緑豊かな葉を付け続ける木)が適しています。このような常緑樹としては、タイサンボクやタブノキなどが知られています。
ただ、樹木で防音壁を造る方の中に「常緑樹だけでなく、落葉樹(らくようじゅ:冬になると葉を落とす木)も植えたい」という方はたくさんいます。この場合、落葉樹は少なめに植えることをお勧めします。落葉樹は冬に葉を落としてしまうため、季節によっては防音壁の効果が半減してしまうからです。
樹木の配置について
樹木で防音壁を構成する場合、配植(植物を配置すること)が大切になります。植栽の配置は、中木(1.5m以上3m未満の木)・高木(3m以上の木)を壁の中心にして、その足元を常緑樹の低木(1.5m以下の木)・中木で埋める構成にします。
このとき、低木・中木は建物側だけでなく、道路側にも植えるようにしましょう。音は低い場所が一番大きいため、木の間から音が抜けないようにするためです。なお、緑地の幅を十分取れる場合、2m以上確保するようにしてください。
また、騒音は低いところばかりではなく、高いところにも抜けます。低い場所ばかりを気にして植栽を植えてしまうと、二階で騒音に悩まされることになりかねません。このことを理解すると、樹木で造る防音壁に高木が必要なことを理解できます。
防音壁の役割を求めて植える高木は、地面から高ければ高いほど効果が大きいと考えられています。実際に、車のライトや騒音を遮ってくれるため、十分に防音壁の役割を果たしてくれます。できれば、高木の高さは5m以上あるものを採用してください。
なお、樹木で作る防音壁は手入れ費用がかかります。植物は生きており、成長するからです。また、害虫の駆除や病気にならないように気を付けなければいけません。
ただし、エクステリア業者に手入れ方法を尋ねておけば、あなた自身で植栽の世話をすることは可能です。メンテナンスについて最低限の知識を学ぶことで、美しい外観を保ち続けると同時に、騒音を遮る防音壁の役割も維持させることができます。
「植物の手入れが苦でない」という方であれば、樹木を利用した防音壁を設け、過ごしやすい庭づくりを実現させてください。