植栽をデザイン要素として考えると、建築物の外観に彩や木々のぬくもり、または風情などの多彩な広がりをもたらしてくれます。そのため、外構工事(エクステリア工事)で植える植栽の種類や配置次第で、見栄えのある外観になります。
ただ、植栽の種類や特性を知らずに見た目だけで選んでしまうと、手入れや害虫の発生に頭を悩ませる可能性があります。そこで、植物の基礎知識を学ぶことは重要です。その中でも、樹木の形態を知ると、周り近所の外構にはない「植物を活用したメリハリのある庭」を作れます。
「デザイン要素」という観点から植栽を考えると、形状や色などが特徴的な植物を選ぶことで、あなたの個性を前面に押し出すことができるでしょう。
樹木の形態で分類する
樹木の種類のことを「木本類」と呼びます。木本類とは、木質の幹と枝を持ち、自立した植物のことです。また、高さに応じて高木や中木、低木、地被(ちひ:地表を覆っている植物)、ツタ類に分類されます。
これら木本類の種類や配置次第で、和風住宅あるいは洋風住宅といった様式にとらわれることは無くなります。このページでは、木本類について解説していきます。
まず、大きさで分類される樹木の区別について解説していきます。
高木
高木と呼ばれる樹木は、一般的に成木時に5mを超える樹木のことを指します。また、植栽時に3m以上の背丈をもつ樹木も高木と呼ばれています。外構に高木を植える場合、花や葉、樹形など、樹木の特性が活きるように植えることがポイントです。
なお、成木でない場合、生長していく過程を見据えなければいけません。高さや枝の張りが巨大化する可能性があるため、植栽時は将来的な大きさを考慮しましょう。
外構工事で主に植えられる高木は、ケヤキやソメイヨシノ、スギヤ、カエデ、クスノキなどがあります。ここに挙げた高木をシンボルツリーとして用いることもできるため、インパクトを与える外観を演出できます。
中木
高木より小さめで、2~5m程度の樹木を中木と呼びます。植栽時の大きさが、1.5~3m程度の樹木も中木になります。植栽後も一定の大きさ(5m以下)に成長するため、樹種によっては剪定(せんてい:枝を落とすこと)などによる管理を必要とします。
また、人の目の高さに枝葉が多いため、外構工事では目隠しなどの中木を利用します。あるいは、列植(植物を並べて植えること)して垣根にすることも可能です。
なお、高木に分類される植栽であっても、剪定などによる管理で3m以下に保たれている樹木は中木と称することが多くあります。
外構に植える中木の植栽は、ツバキやキンモクセイ、オリーブ、ヒイラギなどが人気です。
低木
植栽時の背丈が、1.5m以下(通常0.5m以下)の樹木を低木と呼びます。成長しても大きくならない木です。剪定などによる管理で意図的に大きくしない樹木も低木と呼びます。
外構工事で植えられる低木の種類は、ツツジ類やアジサイ、ユキヤナギなどが多いです。
地被類
高さを出すことを目的とせず、地表を覆うようにして使用する植物のことを地被類と呼びます。また、地被類は樹木だけに限らず、草本類(茎と葉を持つ植物)など多くの雑草も含みます。
例えば、樹木に分類される地被類はコトネアスターやフッキソウなどがあります。一方、雑草に分類される地被類の場合、芝やタマリュウといった、草のみのものも存在します。この違いは、「樹木の形をしているかどうか」で判断します。
ツタ類
主に建物や他の植物に伝わって伸びていく植物をツタ類といいます。地面を這って成長していく植物もツタ類に入ります。ツタ類も地被類と同様、樹木と雑草が存在します。
このように、単に樹木といってもさまざまな種類があることが分かります。これらの特性を理解した上で、外構工事における植栽のプランニングを考えましょうそ。うすることで、あなただけの個性豊かな外構を作り上げることができるでしょう。