法人の外構工事:ランニングコストを意識して経費削減を狙う

法人の外構

お店やマンション、ショールームなどの外構工事(エクステリア工事)を法人様が主体となって行う場合、第一に重視しなければならないのは費用(コスト)です。コストには「イニシャルコスト(初期費用)」と「ランニングコスト(維持費)」の二つがあり、両方を考慮してプランを決める必要があります。

イニシャルコストの内訳は、既存の外構の撤去費用や設計、施工、監理費用などが含まれています。その金額は規模やグレードによって異なり、数万~数百万円、大規模なものになれば数千万円以上になることがあります。

一方、ランニングコストの内訳は樹木の剪定(せんてい:木の葉や枝を切ること)や草花の植え替え、除草・清掃、殺虫・消毒、肥料、水道代など様々なコストが含まれます。

このとき、ほとんどの方は維持費のことを考慮せずにイニシャルコストばかりを気にしてしまいます。「エクステリアは作ったら終わり」だと考えているからです。

たしかに、初期費用は支払えば終わりです。しかし、ランニングコストは永続的にかかり続けてしまうため、会社の経営を圧迫してしまう可能性があります。

そこで、法人様が外構工事のプランニングを行う際は、維持費を最小限に抑えることができる庭を作る上げる必要があります。ランニングコストを小さくすることができれば、会社経費の削減に繋がります。

ランニングコストと会社経費の関係

前述の通り、ランニングコストには樹木の剪定や草花の植え替え、除草・清掃、殺虫・消毒、肥料、水道代など様々なコストが含まれています。これらはぞれぞれ数千~数万円程度の料金ですむものの、10年、20年という長期的スパンで考えると大変大きなコストに膨れ上がります。

例えば、庭の管理に毎月5万円の維持費がかかるとします。この場合、1年で60万円ものランニングコストがかかり、20年後には1200万円もの経費が必要になります。すると、初期費用であるイニシャルコスト以上の金額に膨れ上がることが容易に考えられます。

このことを考慮すると、法人様がエクステリア工事を計画する際には、ランニングコストの意識を念頭に置かなければいけない理由を理解できます。

そのため、多少初期費用がプラスされたとしても、維持費を最小限に抑えることを最優先しましょう。10年・20年という視点で考えれば、大幅な経費削減に繋がり、トータルコスト(設計や施工、管理などの全ての費用を合わせたもの)を最も小さくできます。

ランニングコストを抑えるエクステリア計画

構造物を維持する上で、最もお金がかかるのは「人件費」です。そのため、外構工事のプランニングを行う際は、できるだけメンテナンスフリーのエクステリアを採用する必要があります。

もし、庭師やガーデナー(造園家)などの専門家が入らなければ管理できない庭を計画してしまうと、大きなランニングコストがのしかかってきます。

例えば、日本庭園の風格ある見栄えを維持するには、年に数回は庭師が入り、季節に応じたきめ細かな手入れが欠かせません。

一方、洋風の庭の場合、植物や土の手入れが必要なため、少なくとも春と秋の2回はガーデナーによるメンテナンスが必要になります。また、天然芝も除草や刈込、散水など小まめな手入れが不可欠です。

これらを専門業者に管理を委託すると、毎年の維持費に頭を悩ませることになりかねません。

そこで、エクステリアのランニングコストを抑える方法の例を以下にまとめたので、説明を加えながら見ていきましょう。

①雑草の生えにくい庭

たとえ都心部であっても、外構には必ず緑化スペースが存在します。

ただ、土の部分があるとどうしても雑草が生えるため、除草に追われることになります。これに関しては、天然芝でも同じです。余分な草は美観を損ねるため、個人宅以上に小まめに取り除く必要があります。

ただし、これを外部委託してしまうと、大きなコストとなって跳ね返ってきます。

そこで、インターロッキング(ブロックを互い違いに並べたもの)やコンクリートを採用すると良いです。可能な限り土の露出を無くしておくのは、法人様のエクステリアの基本です。

②樹木の効果的な選定

単に樹木といっても、その種類はさまざまです。例えば、虫がつきやすかったり枯れやすかったりします。あるいは、枝の剪定が必要など「手間のかかる」樹種があります。

このとき、樹木の世話のために時間や人手を割けない法人様の場合、できるだけ手がかからず、丈夫な樹木を選定することがポイントになります。

また、落葉樹(らくようじゅ:冬になると葉を落とす樹木)は落ち葉の掃除も必要なため、コニファー(針葉樹:葉が針のように細長い木)などを適宜に用いて掃除の手間が極力少ないエクステリアを工夫しましょう。

③自動灌水(かんすい:水をそそぐこと)

外構に植栽や芝がある場合、水遣りを行う必要があります。

そこで、散水の手間をなくしつつ、水撒きを忘れて枯らしてしまう事がないよう、自動灌水(自動的に水遣りを行うシステム)を取り入れると良いです。必要な水を適切に与えるため、余分な水を使用することがなくなり、水道代を抑えることができます。

このとき、天水桶(てんすいおけ:雨水を溜めておいて活用するエコシステム)と併せて活用すれば、さらに水道代の節約になります。

④人工芝・固まる土

エクステリアのランニングコストを抑えるためとはいえ、「アスファルトやコンクリートのみで庭を覆ってしまうと味気ない」という場合、人工芝を活用する方法があります。現在販売されているものであれば、本物と見分けがつかない程の見栄えのものがあるのでお勧めです。

ただ、あまりにも安い人工芝を使用してしまうと、半年もせずに色あせたり穴が開いたりしてしまいます。そのため、できるだけ現物を見て長持ちする製品を選ぶようにしましょう。

また、固まる土(水を掛けるだけでコンクリート並の固さになるもの)も市販されており、これで表面を化粧すれば、温もりある雰囲気を演出できます。きつく締め固まるため、雑草であっても根を張りづらくなり、雑草対策も期待できます

⑤耐久性の高い材料の選定

外構は雨や風、日光などが直接当たる過酷な環境にさらされるため、耐久性の高い材料を選ぶこともランニングコストを抑えるポイントになります。

例えば、木材は温もりを演出しやすく、比較的安価に施工できます。ただ、定期的にメンテナンスをしなければ5~10年で修繕や交換が必要になる場合があります。そのため、低価格で材料を購入できたとしても、トータルコストで考えたら高額になりやすいです。

そこで、石やステンレスなど、耐久性の高い素材を選ぶと良いです。また、木材の代わりに木の風合いを持った樹脂製品を活用するのもトータルコストの低減につながります。

ここまで述べてきた通り、法人様がエクステリア工事を計画される場合はランニングコストを抑えることを念頭に置いたプランニングが必要です。維持費を含めたトータルコストの視点を持ち、可能な限り手間のかからない外構を工夫することが会社経費削減に繋がります。

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